◆基本手当の不正受給の実態
雇用保険の基本手当は、労働の意欲および能力を有しながら働くことができずに、求職活動を行っている方の生活の安定と早期再就職を促進するための給付ですが、いわゆる「不正受給」に当たるケースがあることが確認されています。
厚生労働省の発表によると、2005年から2009年までの間に4万件超の不正が確認されていますが、氷山の一角に過ぎないとも言われています。
基本手当等の給付は、被保険者等が負担する保険料によって賄われているものですので、当然、同省もこのようなケースを見過ごすことはできず、法改正等の対応により対策を講じており、件数が減少する傾向になっていましたが、リーマンショックの影響があった2009年度は前年度比で20%近く件数が増えています。
◆不正受給対策の内容
不正受給で多いケースは、基本手当を受給しているにもかかわらず、求人に応募したりハローワークの職業相談を利用したりするといった求職活動の実態がないケース、求職活動の結果、再就職できたにもかかわらず、その報告をしないで基本手当を受給し続けるというケースが大半を占めます。
そのため、ハローワークでは失業認定申告書に具体的な求職活動の内容を記載させたり、申告書に書かれた企業等に実際に応募があったかどうかの確認をとったりして、求職活動の実態を調査しています。
また、不正受給が発覚した場合には「2倍返し」「3倍返し」させる等の厳しいルールを設けることで、不正受給を抑止する効果をねらっています。
◆本人確認の徹底
さらに、基本手当の受給を申請するときには、離職票のほか、本人確認書類(運転免許証や写真付き住民基本台帳カード等)や本人名義の通帳等を持参して受給資格の決定を受けた後、受給説明会等を経て、指定した口座に給付が振り込まれることとなります。
この本人確認について、今年4月1日より雇用保険法施行規則が改正され、受給資格決定時だけでなく、受給資格決定後においても、本人確認書類の提出を求めることができることとされました。
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